目を東に転じると、仙台平野を分断するように松島丘陵が連なっています。この丘陵には第56回国民体育大会のメイン会場となったグランディ21が整備され、利府町はこのほか県民の森の所在地、ナシの産地として知られています。
隣接する多賀城市は1300年前みちのくの遠の朝廷(とおのみかど)≠ニいわれた国府がおかれた場所です。およそ600年間東北の政治の中心となった場所で、たくさんの都の人達が国府の役人としてやってきて、松島をはじめとする宮城の景勝地の美しさを歌に託しました。都の人達も、うわさに聞くみちのくの美しさにさまざまな思いを込めてそれを歌に託しました。この辺には、たくさんの歌枕があります。利府町には十符(とふ)、多賀城市には野田の玉川、おもはくの橋、沖の石、末の松山、壺の碑(つぼのいしぶみ)、浮島(うきしま)、塩竃市には塩竃の浦、籬島(まがきじま)、松島町には松島、雄島(おしま)などがあり、著名な歌が数多く詠われ、小倉百人一首にも三首をとどめています。
我が袖は潮干に見えぬ沖の石の
人こそ知らねかわく間ぞなき 二条院讃岐
契りきなかたみに袖をしぼりつゝ
末の松山波こさじとは 清原元輔
見せばやな雄島の海人の袖だにも
濡れにぞ濡れし色はかはらず 殷富門院大輔
住宅地の整備が進む七ヶ浜町では市民農園が整備され、農業という顔ももつ松島ではトマト、たけのこの栽培が積極的に行われています。仙台港(多賀城市・仙台市)は国際貿易港として周辺の整備が着々と進み、夢メッセみやぎ、アクセルなどの施設整備が進んでいます。そのそばの七北田川河口の蒲生(がもう)干潟は野鳥のサンクチュアリとして保護が進められています。
重要港湾塩釜港や陸奥国一の宮の塩竈神社の所在地と知られる塩竃市は、水産都市として豊かな海の幸を私たちにもたらしています。松島は、有数の観光地として多くの人々が訪れていますが、島々の松を松くい虫から守り、次代に伝え、また、美しい松島の海を守る松島湾リフレッシュ事業がおこなわれています。
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