1 黎明の時代を代表する貴重図書ー2
『北海道風土記』は、1869年(明治2)大槻文彦自筆の北海道と北方領土に関する地誌で、日本の国家意識が形成されていくなかで、国境の明確化を意図した重要な著作である。『言海』は大槻文彦の自筆稿本で、我が国最初の国語辞書として、豊富な収録語と精確な語釈をもった不朽の名著である。
6月に文化財に指定された11件は、絵図類である。「仙台藩関係絵図」は、絵図を通して仙台藩の変遷が辿れるような内容である。国絵図、仙台城下絵図、 仙台城絵図、 仙台・江戸屋敷絵図、 城・要害・在郷屋敷絵図などがある。そのほか「蝦夷地関係絵図」、「伊能図(中図)」、「皇国地誌及び皇国地誌付図」である。
2 「叡智の杜づくり」実現へのプロセス
「22世紀を牽引する叡智の杜づくり」は、三段階で作業を進めていくこととしている。第一段階は、県の文化財の指定に向けて相対評価や調査を進めていくことで、作業は順調に進んでいる。第二段階は、資料の修復・複製の作業を行っていくこととし上層部の判断を仰ぎながら、平成16年度を初年度として進める方向で考えている。
第三段階は活用についてで、目録のデータベース化、写真撮影、デジタル化を図っていくこととしている。そしてデジタルアーカイブを通して積極的な情報発信を進めるため、ホームページで広く公開すると共に、総合学習・生涯教育の場での活用を図りたい。さらに電子出版、展示会等を通して、宮城から新しい情報を発信していきたいと考えている。夢は限りなく大きく膨らんでいる。
3 「叡智の杜」を目指して
職員は一丸となって、宮城における学術・文化の総合拠点として、文化の振興、日本における学術文化の向上の起爆剤たらんとする意気込みで仕事に取り組んでいる。そのためには司書のもつノウハウのさらなる向上を図り、全国ベースの人的ネットワークを力強く形成し、次代の要請に十分応え得る図書館にしていかねばならない。図書館に寄せられる期待と役割は大きい。 ともすれば日常の業務に追われ、研究や発表の機会が少ない司書が、自らの手で仕事の領域を広め、自信と誇りを持って力強く、未来を構築していくことが強く求められている。事務方の支援態勢も整っている。「22世紀を牽引する叡智の杜づくり」はまさに司書が、もてる力の全てを結集して実現しようとする図書館の壮大な試みである。
(追記 平成16年度新規事業として認められ毎年3500万円で15カ年計画で保存修復事業に取りくむこととなった。今後とも学術調査を実施して文化財の指定、保存修復に取り組んでいきたい。)
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