トップページへ仙台藩最後のお姫さまみちのくの文学風土
みちのくの和歌、遥かなりみちのくの指導者、凛たり武将歌人、伊達政宗
 
書評・畑中次郎著 句集『威し銃』
2007年8月10日


 

  待詫びてまどろむ程の暁に
       心ありけな初ほととぎす 政 宗

 夏本番を迎えています。ご健勝の御事と拝察、お慶びを申し上げます。
 過日御著書『威し銃』をお贈りいただきながら、母の入院等で御礼遅れていました。おくらばせながら御礼を申し上げます。御著書を拝見しながら、改めて俳句の奥深さを感じているところです。
  冬の日を溜めて阿弖流為無念の碑
 いわれなき差別にいかに多くの先人がみちのくの山河に無念の泪を流したでしょうか。
  捨て畑に出でて明るき雉の頬
 里山のようなところに住んでいる私の家の畑にも、時々雉が姿を現しほっとした一時を与えてくれます。
  糸とんぼ実方塚の柵に拠る
 実方秘話と糸とんぼのなんとも儚げな姿の重なりに往事に思いを馳せました。
  大観音の窓より望む豊の秋
 瑞穂の国の豊かな大地と感謝の祈りを感じました。
  獄門の施錠の音の寒さかな
 冷たいコンクリートの獄舎に無情に響く施錠の音。この一瞬社会から一切隔絶された獄舎の日常生活の一日が淋しく暮れようとしているのでしょうか。社会から隔絶された人たちは何を思い考えながら一日一日を送っているのでしょうか。
  はまなすや日がな風吹く海難碑
 海難碑にはどんな悲しい話が伝わっているのでしょうか。時を超えて毎年はまなすが咲き、秘話も遠い昔の物語になっていくのでしょうか。
 句からいろいろなことを想像し楽しませていただきました。有り難うございました。
 夏本番、ご健勝の御事をお祈り致します。
        平成十九年八月九日
             伊 達 宗 弘
畑 中 次 郎 様