台湾娘の贈り物
私はこの4月、はからずも仙台藩志会会長を拝命した。
この会は、仙台藩祖政宗をはじめ歴代藩主の遺徳を顕彰し、歴史・精神・文化などについて研鑽し広く社会に貢献することを目的とし、戦前からの会も引き継ぎ昭和50年結成された会である。 青葉祭り、仙台七夕など県内のイベントはもちろん、北海道、愛媛県、岩手県、福島県など旧仙台藩ゆかりの地や、慶長遣欧使節ゆかりのローマやメキシコなど様々な場所で、宮城のPRにも大きな役割を果たしている。
また月一回のペースで一流の先生を講師に招き受講者を公募し、仙台や宮城の歴史や文化を多角的な面で捉えるとともに歴史探訪会なども行っている伊達学塾を開設している。そのほか学術的な色彩の強い『藩報 きずな』という会報を毎年2回発行し、広く配布している。とかく藩志会というと旧仙台藩士の子孫の集まりと思われがちであるが、趣旨に賛同している人を幅広く受け入れながら、大切な役割を担ってきた会である。『士』を『志』に変え、多くの人々に参加を呼びかけてきた会であり、いまだにその精神を引き継いで活動している全国唯一の会である。
知事や仙台市長や国会議員、県会議員、ゆかりのある都道府県の方々にもご参加いただいている。会員も各界で活躍されている方々が多い。ご縁があって私も総会や伊達学塾で何度も講演をさせていただいてきた。
前任者は多数の著書があり数々の賞を受賞、日本物理学会会長を務められ、現在は財団法人新世代研究所理事長の日本の物理学会を代表する伊達宗行氏である。又従兄弟とはいえ格が全く違うし、歴代会長もみなそうそうたる方々が務められてきた。
熟慮したすえ理事長にメールでご相談した。『引き受け頑張るように』との激励のメールをいただいた。もうやるしかない。
私は宮城県図書館長時代『二十二世紀を牽引する叡智の杜づくり』をテーマに事業を進めた。この趣旨は『次代を担う人たちに自信と誇りを持って語れる日本やふるさとの歴史や文化をしっかりと伝える。これがあって初めて堂々と生きることが出来また世界に対峙して行くことができるのではないか』という思いからである。図書館に赴任した当時国指定重要文化財『坤輿萬國全圖』が一件指定されていただけであったが、図書館の職員の叡智を結集し、長い間に培ってきた全国の一流の学者の協力を得て、国・県指定文化財八千点を有する全国屈指の文化財を所有する図書館にした。文化庁の特段の配慮を受け京都国立博物館の修復施設を使わせていただき、国の文化財指定を前提にした修復事業を行う国宝修理装潢師連盟の高度な技術で修復作業を行い、あわせその修復過程を高精度のデジタル画像に収録、それを活用し多数のレプリカを作成した。
この事業は国のモデル事業にも指定され、これらのレプリカは学校や図書館、公民館などへ無償で積極的に貸し出し、直に目で見また手で触れていただき特に若い人たちの豊かな感性の涵養に大きな役割を果たしてきたと自負している。
今後は、前会長はじめ皆様の営々と積み重ねられた努力に恥じることことのないように、今までの培ってきた経験、ノウハウと人脈をフルに活用し、仙台藩志会に若い人たちがさらに多く参加し、社会的に大きな役割を果たしていただけるよう環境を整えていくことが、これからの私に課せられた責務と考えている。
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