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みちのくの和歌、遥かなりみちのくの指導者、凛たり武将歌人、伊達政宗
 
四季彩彩−登米地域讃歌− 四季彩彩
2003年2月22日


  山間の霧はさながら海に似て
     波かと聞けば松風の音(伊達家九世 政宗)

 山野が一斉に萌える季節ともなると、一面に水が張られた水田に小さい小さい苗が大地にそっと植えられます。毎朝心配そうに見にくる人の心を知ってか知らずか、新しい命は燦燦と降り注ぐ光と清らかな水を精一杯に吸収し、一歩一歩逞しく成長していきます。梅雨どき寒暖に心を砕き、水の量をいつも心に掛けながら迎える夏。無事出穂を見届けた時の安堵の顔、収穫を心から喜び神に感謝する秋は、豊穣大地・登米が最も輝く季節でもあります。命を育み、その実りを得た喜びは何にも替えがたいものです。

 遠方に住んでいる子や孫に思いを馳せながら、丹精込めた実りを一つ一つ確かめながら荷を作るのに精を出している一時が、ここに住む人々が生きていることの充実感を最も感じる時でもあります。便利さや経済性だけを追い求めず、しっかりと大地に足を踏み締め、先人たちがそうであったように黙々と働き今日を築いてきたのです。

 冬の訪れは渡り鳥の飛来に始まります。鳥たちが帰ってきたかと言う安堵感とともに、この大事な預かりものを無事に北国に帰さねばと考える日々。我が子を慈しむように優しい気持ちで鳥たちに接し、渡り鳥たちが北国へ向かうのを確かめた後、ここに住む人達はまた大地に新しい命の息吹を与える作業を開始するのです。

  春風も外山のおくも雪消えて
     のどけき空に帰る雁がね(伊達政宗)